アトピーと漢方

アトピー性皮膚炎についてご案内。

アトピーと漢方

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は決して治らない病気ではありません

アトピー性皮膚炎は、近年、増加の一途をたどっている疾患で、乳幼児から大人まで幅広い年齢層の方が悩んでおられます。アトピー性皮膚炎のほとんどの方は、ステロイド剤やプロトピックを使用しているのが現状です。もちろん、かゆみや炎症が強い場合はステロイドを使用していただく必要があります。しかし、ステロイドを使用し続けても、根本から治療しているわけではありませんので、ステロイドを使用しながらでも、漢方療法で体の内側から体質を変えることがアトピー治療には大切になります。

アトピー性皮膚炎は決して治らない病気ではなく、漢方療法で体の内側から体質を変えることで改善して頂ける疾患です。

アトピー性皮膚炎の症状は"かゆみ、赤み、乾燥、ジュクジュク、丘疹(盛り上がり)、水泡"など様々な症状があり、これら症状によっても服用して頂く漢方薬は異なります。例えば、炎症が強く熱感、赤み、かゆみが強い場合には『清熱解毒作用』の漢方薬を服用して頂きます。ジュクジュク、丘疹、水泡があれば、水分を取り除く『利水作用』の漢方薬を服用して頂きます。多くのアトピー性皮膚炎は、これらの症状が組み合わさっていますので、『清熱解毒』『利水』を兼ね合わせた『清熱利水作用』の漢方薬を服用して頂くケースが多いのが現実です。

清熱利水作用の漢方薬は、服用により悪化することはなく改善していただけますので、安心して服用して頂けます。

そのほかに、成人移行の方に多いのが、肌の乾燥です。乾燥しているのであれば、皮膚に潤いを与える『補陰作用』の漢方薬を服用して頂きます。また、夏場の暑い季節には『清熱作用』の漢方を、冬場の乾燥する季節には肌に潤いを与える『補陰作用』の漢方を用いることでそれぞれの症状が緩和します。

ステロイドが効きにくくなってきた方、ステロイドの継続使用に抵抗を感じる方には、漢方療法で体の内側から体質を変えて頂く事をご提案させて頂きます。しかし、ステロイドを急に中断してしまうとリバウンド症状が起こってしまい悪化の原因になりますので、しばらくは、ステロイド剤と漢方薬を併用して頂くことになります。

今までに、いろいろな治療をしても改善できなかった人も漢方療法で改善して頂けております。あきらめずに漢方療法を始めて頂ければと思います。

ステロイド剤は使いたくない。でも、使わずにはいられない方へ

アトピー性皮膚炎の治療で主流になっているのがステロイド剤です。

アトピー性皮膚炎の方は、一度はステロイド剤を使用しているのではないでしょうか。現在、ステロイド剤を使用している方のほとんどは『ステロイド剤は使用したくない』と切実に願っています。その理由は、ステロイド剤の副作用が取り上げられるようになったからです。特に長期にわたって使用すればするほど副作用の心配があります。

しかし、実際には、かゆくて仕事や勉強も手につかず、夜も眠れないとなると生活自体に支障をきたしてしまいます。

また、かゆみが強く、患部をかき崩してしまうとどんなに優れた漢方治療をしていてもアトピー性皮膚炎は悪化してしまいます。その為、かゆみが強く患部をかき崩してしまう方は、ステロイドの使用が必要になります。

そこで、かゆみが強い方や現在ステロイドを使用している方は、漢方治療を始めるとしても、はじめのうちはステロイド剤を併用していきます。漢方を服用して、体の内側から体質を変えていきかゆみが弱くなったら、徐々に作用の弱いステロイド剤に変えていき、最後には、ステロイドに頼らずに保湿剤を使用して頂きます。(皮膚科の医師に診て頂きステロイド剤の強弱を選んでもらって下さい。)

アトピー性皮膚炎の治療は、このような順序で、根気のいる治療ですが、体の内側から体質を変えていく必要があると私は思います。

お勧め商品と対策

肌に優しい入浴法と石鹸

体を洗うときは、まずよく泡立てて柔らかいタオルや手で優しく洗って下さい。軟膏や汗が洗える程度で十分です。昔ながらの固形石鹸をおすすめします。また、頭皮がカサカサの人はシャンプーやリンスにも気を使って下さい。シャンプーやリンスを流すときに体に付いてしまったら丁寧に洗い流して下さい。

湯船につかる時は、ぬるめの湯で5分ほど市販の入浴剤は使わないほうが良いです。入浴後は、すごい勢いで水分が失われるので、すぐに保湿クリームを塗って下さい。

皮膚は掻かないようにしましょう

アトピー性皮膚炎は、かゆくて、掻きたくなるのは仕方がないのですが、掻くことによって、どんなによい治療をしていても炎症がひどくなります。掻かないのが一番よいのですが、どうしても掻く際は、手を清潔にし、爪を立てないでやさしく掻いたり、やさしくたたいてください。皮膚が赤くなるまでは絶対にしないでください。また、皮膚を冷やしたり、潤すことによってかゆみがおさまりますので、保冷剤や加湿器や保湿クリームを使って冷やしたり潤したりしてください。

アトピー性皮膚炎の人に、お勧めの保湿クリーム(APクリーム、瑞花露クリーム)が下記に載せてあります。参考にしてください。

日光に注意

オゾン層の破壊で紫外線や赤外線によるアトピー症状の悪化が考えられます。十分に日焼け対策をし、長時間日光に当たらないようにしましょう。日焼けをしてしまったら、冷やしたタオルで皮膚を冷やしてください。

汗をかいたら…

汗をかいたら、頻繁にシャワーを浴びましょう。シャワーの温度は低めに設定してください。また、シャワー後は、すぐに保湿剤で保湿をしてください。小さなお子さんの場合は、汗をかいたら水遊びをして楽しく汗を流すと喜びますよ。

プールに入るときは…

プールには塩素が入っており、塩素の刺激で皮膚が炎症することもあります。プール後は、石鹸を使って塩素を洗い流す必要があります。シャワー後はすぐに保湿剤で保湿をしてください。

もし、塩素をしっかり洗い流しても皮膚がかゆく炎症しましたら、しばらくプールに入るのはやめましょう。

便秘をしないようにしましょう

便秘をすると体の中に「熱」がこもります。それによって皮膚の炎症やかゆみが増加します。アトピー性皮膚炎の人で、便秘の人は、便通をよくする生薬を加える必要があります。

ストレスはためないようにしましょう

アトピー性皮膚炎事態がストレスになり、ストレスとためないことは、非常に難しいことですが、ストレスによって体の中に「熱」がこもります。それによって皮膚の炎症やかゆみが増加します。

受験、就職、引越しなどもストレスが原因でアトピー症状は悪化しやすくなります。

風邪を引かないようにしましょう

風邪を引くことにより、体に熱がこもり、皮膚の状態が急激に悪化することがあります。日頃から、うがい、手洗いを心がけ、十分に睡眠をとりましょう。

漢方薬と風邪薬は併用することは可能です。吐き気がなく食欲があれば併用してください。かかりつけの医師または薬剤師に相談して下さい。

食べるものに気をつけましょう

  • 甘くてカロリーの高いものを控える (例)ケーキ、チョコレートなど
  • 油ものを控える (例)てんぷら、とんかつ、ポテトチップスなど
  • 香辛料を控える (例)キムチ、カレー、からし、わさび、唐辛子、コショウなど
  • 加工食品を控える (例)ファーストフード、カップラーメンなど
  • 生もの、冷たいものを控える (例)アイス、冷たい飲み物、さしみなど
  • タバコ、アルコール、コーヒーも控える

身に着ける衣服に気をつけましょう

ウールや化学繊維(ナイロン)は肌を刺激してかゆみを誘発します。綿の肌着がベターです。冬場の毛糸のマフラーも避けたほうがよいです。低刺激性のアクリル地のマフラーの方がよいです。

洗濯の仕方に気をつけましょう

洗剤は少なめに使用しましょう。洗剤を多く入れすぎ、すすぎきれなかった洗剤が衣服に残っていると、アトピー性皮膚炎にはよくありません。洗剤の成分は強力なので、かゆみを誘発したり、洗剤そのものがアレルゲンとなって患部を悪化させる危険性が高いです。

© 杏林堂漢方薬局鍼灸院
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